マンスリーコラム

蓄電や暮らしに関する
さまざまなトピックスを
毎月お届け。

今年も猛暑!電力ひっ迫のリアルな事情とは?2023.08.09

今年も猛暑!電力ひっ迫のリアルな事情とは?

今年も各地で厳しい暑さが続く日本。経済産業省では、この夏を「10年に一度の厳しい猛暑」と想定しています。
やはり気になるのは、猛烈な暑さに伴い電力が不足するのでは?ということ。電力需要に対して、どのような対策が策定、実施されているのかを、今回は見ていきたいと思います。

なぜ電力は不足するのか?

このコラムを読んで頂いている方の多くはすでにご存知かもしれません。が、まずは「電力不足とは何か?」を簡単におさらいしてみましょう。
電力不足とは、発電所が供給する電力が各家庭や工場、企業などが利用する電力に追い付かなくなる状況を指します。この需要/供給のバランスが崩れると、限定的・計画的な供給制限措置が必要となります。
もちろん、これは供給量を使用量が上回ったときだけに起こることではありません。台風や地震などの自然災害や、その他の想定外の事態も常に考慮が必要です。

なぜ電力は不足するのか? 出典:電力需給緊急対策本部(平成23年3月25日)の参考資料を元に資源エネルギー庁が作成

そのため、経済産業省では常に状況を見ながら安定需要のための「予備率」というものを確保しています。
この電力予備率とは、電力需要に対して供給余力がどの程度あるか、を示す値です。電力需要は一定時間の平均値で3%前後の上下動があるため、最低でも3%の余力が必要、ということになります。
「だったら、たくさん発電設備を作って、たくさん電力供給できるようにしておけばいいだけでは?」と思いがちですが、実は電力には「同時同量の原則」というものがあります。
これは、「電気を作る量(供給)と電気を消費する量(需要)=電力需要バランス」が崩れてしまうと、電気の周波数(=品質)が崩れてしまい、正常に電力供給が行えなくなってしまいます。このバランスの崩れもまた計画停電やブラックアウトに繋がる可能性があります。

2023年の各電力事業者の供給計画と想定需要に基づく電力需要の見通し(予備率) 出典:電力需要に関する検討会議/2023年夏季の電力需要対策(概要)より抜粋

上記は今年の日本各地の予備率を一覧にしたものです。最低ラインの3%は確保しているとはいえ、関東地方では9月になるまで、厳しい状況が続くと予想。7月に続き、8月にも節電要請が行われています。

具体的に電気が不足するのはいつ、どんなとき?

ここでは家庭における、夏の電気の使用割合と電力需要を見ていきたいと思います。
右の折線グラフは、夏の電力需要を表しています。緑色の線が家庭用電力の時間ごとの需要量の変化を示しています。ここから、だいたい夜19時以降に電力需要があがっていることが分かります。

夏の点灯帯の電気の使用割合の例と夏の電力需要 出典:資源エネルギー庁

そして、左の円グラフが、19時ごろの家庭で、どのような電化製品が電気使用の割合を占めているかを示したものです。また、東京電力パワーグリッド《でんき予報》では、リアルタイムで広域ブロック/東京エリアでの電気使用率を確認することができます。

夏の点灯帯の電気の使用割合の例と夏の電力需要 東京電力パワーグリッド《でんき予報》

その日ごとの需要ピーク、使用率ピークなどを時間ごとに予想。電力供給が安定的か、もしくは厳しい状況なのか一目でわかるので、こまめな節電対策にぴったりです。
このようなでんき予報は、各地域の大手電力会社のサイトでも見ることができます。毎日の習慣として、まずはその日のでんき予報をチェックする、ということも節電には大いに役立ちそうです。
北海道電力《ほくでんネットワーク-北海道エリアのでんき予報》
東北電力《東北6県・新潟エリアでんき予報》
北陸電力《北陸エリアでんき予報》
関西電飾送配電株式会社《でんき予報》
中国電力ネットワーク《でんき予報》
中部電力《でんき予報》
四国電力《でんき予報》
九州電力《でんき予報》
沖縄電力《でんき予報》

今夏だけではない、未来のことを考えたサステナブルな節電ライフを

今夏だけではない、未来のことを考えたサステナブルな節電ライフを

電気代の大幅な高騰についてはご紹介したばかりですが(4月から大幅値上げ!電気料金「どうする?」「どうなる?」)、まだまだ日本の深刻な電力不足状況は大きく変わりそうもありません。原子力発電の活用や火力発電所の稼働、燃料の調達、再生可能エネルギーの活用など、日本政府は電力不足対策のためにさまざまな対策を行っていますが、国民全員が協力しなければ電力不足は解消できません。
ここまで見てきた「私たちにできること」をまとめてみましょう。

❶家電を効率的に利用する。
冷蔵庫の中身を整理して設定温度を下げる、エアコンの設定温度を1~2度上げる、電気をこまめに消すといった簡単なことでも、それぞれ数%の節電になります。日々のちょっとした意識の積み重ねが大切です。

❷電力を使う時間をずらす。
多くの人が利用する時間に電力を使うと、当然、より多くの電力の発電が必要になります。時間に余裕があるときには、使う時間をずらす、というだけでも節電になります。

❸再生可能エネルギーを積極的に活用する
やはり一番のポイントとなるのは、再生可能エネルギーの使用。そして、そのエネルギーを賢く活用することです。電力会社で作られたエネルギーを「消費」するのではなく、企業や自治体、そして家庭ごとに「作る」という発想はすでに未来の日本社会を形作る上でも重要なポイントです。

そこで重要になってくるのは、日々の状況に応じて自家発電エネルギーをコントロールすることができる蓄電システムをきちんと選ぶことです。EVへの充電はどの時間がもっとも適しているのか、充電した電力を使うのはいつが最適なのかを、コントロールする必要があります。
ニチコンのトライブリッド蓄電システムなら、トライブリッドパワコン®で太陽電池、蓄電池、EV内蔵電池の3つを統合制御。それぞれの放電動作を効率的に行えます。また、V2Hスタンド・V2Hポッドを設置することで、太陽光発電や蓄電池からEVへの倍速充電が可能に。割安な時間帯の電力をEVに充電し、電気料金が高い時間帯に家庭用電力として使用することができます。また、トライブリッドパワコン®に付属している室内リモコンを活用することで、家庭での太陽光の発電量、蓄電池やEVへの充放電量を確認。状況に応じて、細かな調整をすることが可能です。カーボンニュートラルな社会の実現に向け、着実にEVの普及が進められている現在。それはつまり、より電力が必要とされる、という意味でもあります。「太陽光発電×EV」という組み合わせは効率的であるだけでなく、電力の作り方/貯め方の“基本”になっていくはずです。

電力不足や電気料金の値上げなど、なかなか気が重いニュースが続きますが、そこへの危機感により「電力」に対する意識が変わってきたことも確かなのではないでしょうか。また、様々な形で電気・電力の「見える化」も進んできています。
電力をもっと身近に、もっと優しく。私たちの未来を作る、大切な資源として、ニチコンはより皆さまに親しんでいただける「電気」のカタチをお届けしていきます。

一覧へ戻る