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4月から大幅値上げ!電気料金
「どうする?」「どうなる?」2023.04.03

4月から大幅値上げ!電気料金「どうする?」「どうなる?」

2021年9月から2023年の現在まで続いている、電気料金の値上がり。電力は、私たちの生活基盤となる最も重要なライフラインです。その電気料金の値上がりは、私たちの生活に大きな影響を与えることは言うまでもありません。昨年中ごろまでは「電気料金がいつもよりも上がっている…?」程度の認識だったのが、この冬を通して、電気料金の通知を見るたびに「こんなに?」「なぜ?」と困惑した方も多いはずです。

基礎知識!電気料金の仕組み/内訳

電気料金は主に「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3つで構成されています。
まず「基本料金」は、電力会社と契約しているプランの内容/契約容量によって、毎月定額が請求される料金です。「電力量料金」は使用した電力量に応じて発生する料金を指します。「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」により電力会社が買い取りに必要となった費用を、電気の使用量に応じ、電気料金の一部として契約者が負担する料金です。つまり、後の2項目は、その月の使用した電力量により請求される従量制です。

基礎知識!電気料金の仕組み/内訳 出典:経済産業省資源エネルギー庁

大手電力7社が電気料金の値上げを申請…なぜ?

今、ニュースでもさかんに報道されている大手電力会社各社の値上げは、この「基本料金」の引き上げを意味します。この「基本料金」を値上げするためには、国の許可が必要となります。

大手電力会社の値上げ申請内容(値上げ率)と申請状況をまとめてみましょう。

大手電力会社の値上げ申請内容(値上げ率)と申請状況 (2023年3月15日現在)

このように平均しても28~45%と、かなり大きな値上げが申請されており、東京電力以外の6社では4月からの実施が予定されています。

この基本料金値上げの申請の背景にあるのは、やはり一番に燃料費の高騰があります。定額である基本料金、あるいは2016年の電力小売り全面自由化によって生まれた自由料金も共に「燃料費調整制度」と呼ばれる制度によって、電力会社各社は調達した液化天然ガスや原油、石炭などの価格を自動で消費者に支払う料金に反映することができます。昨年はロシアのウクライナ侵攻(ウクライナ侵攻から1年…電力業界に与える影響は?)や円安が、各資源の調達価格に大きく影響しました。
例えば、2022年12月の時点で天然ガスの輸入価格は新型コロナウイルス流行前の2019年12月に比べ約2.5倍、石炭は5倍もの価格となっています。

基本料金については、消費者保護の観点から燃料コストの価格反映に上限が設けられています。しかし、高騰の止まらない燃料コストに対し、東京電力では2022年9月の時点でその上限に達しており、超えた分はすべて会社が負担している、という状況です。北海道電力も燃料調達コストがかさみ、2023年3月期の連結最終損益が9年ぶりの赤字転落を見込んでいます。こうした事情で、基本料金の値上げが国に申請されたわけです。

家計への負担は?各社の値上げ額をシミュレーション

家計への負担は?各社の値上げ額をシミュレーション

とはいえ、数字だけではなかなか実感しにくいもの。実際にはどれくらいの金額が、今よりも上乗せされるものなのか、平均的なモデルを使って各社の値上げ額を見ていきましょう。

北海道電力

平均モデル(契約種別:従来伝統B、契約電流:30A、使用電力量230kWh/月)の月額
値上げ前:8,862円 → 値上げ後:11,700円(値上げ額 2,838円
参照:北海道電力

東北電力

平均モデル(契約種別:従量電灯B、契約電流:30A、使用電力量260kWh/月)の月額
値上げ前:8,565円 → 値上げ後:11,282円(値上げ額 2,717円
参照:東北電力

北陸電力

平均モデル(契約種別:従量電灯B、契約電流:30A、使用電力量230kWh/月の場合)の月額
値上げ前:6,402円 → 値上げ後:9,098円(値上げ額 2,696円
参照:北陸電力

東京電力

平均モデル(契約種別:従量電灯B、契約電流:30A、使用電力量260kWh/月の場合)の月額
値上げ前:9,126円 → 値上げ後:11,737円(値上げ額 2,611円
参照:東京電力

中国電力

平均モデル(契約種別:従量電灯A、使用電力量260kWh/月の場合)の月額
値上げ前:8,029円 → 値上げ後:10,428円(値上げ額 2,399円
参照:中国電力

四国電力

平均モデル(契約種別:従量電灯A、使用電力量260kWh/月の場合)の月額
値上げ前:7,915円 → 値上げ後:10,120円(値上げ額 2,205円
参照:四国電力

沖縄電力

平均モデル(契約種別:従量電灯、使用電力量260kWh/月の場合)の月額
値上げ前:8,847円 → 値上げ後:12,320円(値上げ額 3,473円
参照:沖縄電力

これは確かに「ちょっと上がったかも…?」ではなく、確実に家計への負担を実感する料金と言えるのではないでしょうか。
ちなみに、日本政府はこうした状況に対する負担軽減策として〈電気・ガス価格激変緩和対策事業〉を発表。電気料金の負担軽減として2023年1月の電気使用量、つまり2月に請求される電気料金分から補助を行っています。平均的な家庭の場合には約1600円~1,800円ほどの値下がりを期待できます。ただし、この政策は9月使用分からは段階的に縮小することもすでに決定されています。

自分たちに最適な契約プランの見直しや電気の使い方を考えよう

自分たちに最適な契約プランの見直しや電気の使い方を考えよう

残念ながら、電気料金は今後もしばらくは高騰、あるいは高止まりしていく可能性が高いと予想されています。海外からの輸入に頼らず、日本国内でエネルギーを生産するためのクリーンエネルギー、再生可能エネルギー導入推進のためにも必要不可欠な「再生可能エネルギー発電促進賦課金」も上昇が予測されます。また、まだ終結が見えないロシアのウクライナ侵攻なども、市場の先行きを不透明にしています。

今回の電気料金の大幅な値上げに対して、私たちはどんな対策をすることで、少しでも家計の負担を減らすことが出来るでしょうか?
まずは、節電です。使わない部屋や、家電の電気を切っておく。エアコン温度の調整に気を配るなど、日ごろの小さな心がけの積み重ねは、きちんと使用電力量に反映されてきます。そして、次は契約プランの見直しです。自分たちの家庭での電力事情をしっかりと把握した上で、現在契約しているプランが本当に合っているのか、もっと最適なプランがないのか、きちんと検討することが大切です。

また、先に解説した燃料調整費ですが、これはプランによって異なってくることもポイントです。各社とも新料金プランの場合にはほとんどが10円/ kWhですが、従量電灯では5円/ kWh程度の値上がりとなっています。詳しい料金は各社によって異なりますので、お住まいの地域の電力会社の情報を確認して、プランの見直しに役立ててみてください。

そして、やはりここでもキーワードとなるのは、クリーンエネルギーと蓄電システムの活用です。
電気料金の値上げとは、つまり、電気を「買う」ことを前提としています。太陽光発電により、自分たちで電気を「生産」し、きちんと「活用」することで、その影響は最小限に抑えることが可能になります。蓄電システムの導入により、エネルギーの「作る」「ためる」「使う」の循環をしっかりと確保すれば、電気を自給自足することもできます。

重要なライフラインである電力を、自分たちできちんと管理し、確保する。世界中で再生可能エネルギーや脱炭素社会への取り組みが進む現在、私たちの電気との向き合い方も、大きな変化が必要とされています。
ニチコンは、お客様一人ひとりと真摯に向きあい、ライフスタイルやライフステージに合った蓄電システムをご提案することで、これからも皆さまの「電気の不安」を解消するお手伝いをさせていただきます。

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