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GWにもオススメ!
「電気な映画」傑作5選2023.05.02

GWにもオススメ!「電気な映画」傑作5選

今度のお休みには、家族で映画鑑賞はいかがでしょうか? 私たちの生活に欠かせない、ライフラインの要とも言える「電気」は、数多くの映画でもテーマになってきました。電気は誰が、どんな風に作ってきたの? もしも、電気のない世界だったら? 今回は電気にまつわる「なるほど!」や驚きがつまった、“電気な映画”をご紹介していきます。観てみると、電気がもっと身近で、もっと大切なものに感じることができるかもしれません。

究極のエコシステムで生き残れ!

オデッセイ(2015)

〈電気!な見どころ〉

地球から2億2530万km離れた星に一人残された主人公。自分の生存を知らせ、地球がすぐに救援を送ってくれたとしても、到着するのは1400日後。しかし、残された水や酸素や食料は31日分のみ(!)。誰もが心折れること間違いなしの絶望的な状況の中、「絶対地球に帰る!」と決めたワトニーは、植物学者ならではの知恵とアイデアで究極の生き残りサバイバルを開始します。ここで注目したいのが、ワトニーがコツコツと作り上げる「おひとりさま生存用クリーン・エネルギーシステム」。石油資源など当然ない火星で、自分のまわりにあるあらゆるものを使い、育て、循環させることで、驚きのエネルギーシステムを構築するのです。日々襲い来る絶体絶命のピンチにも、不屈の精神で挑む主人公に元気がもらえる事うけあいの一本です。

謎のエネルギー、1.21ジゴワットとは?

バック・トゥ・ザ・フューチャー Part 2(1989)

〈あらすじ〉

前作から無事に自分の生きる時代(1985年)に戻ってきた主人公マーティ(マイケル・J・フォックス)。しかし、ほっとしたのもつかの間、デロリアンに乗ったドクが未来からあらわれ、マーティの将来に危機が生じていると告げる。その危機を回避するため、再び未来にタイムスリップした彼は危機の原因となる事件を解決するが、それが再びきっかけとなり、戻ったはずの現代はまったく違う世界に変貌してしまっていた。世界の姿と、家族の未来を取り戻すためマーティは再び、デロリアンに乗りこんで1955年にタイムスリップすることに。

バック・トゥ・ザ・フューチャー Part 2

〈電気!な見どころ〉

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と言えば、やはり車型タイムマシーン“デロリアン”!映画の中ではこのデロリアンを過去・未来に飛ばすには「1.21ジゴワットのエネルギーが必要」と説明されています。ジゴワットとは? 実はこれ、「GigaWatt(ギガワット)」だったものが、いつの間にか読み間違えられ、そのまま映画内で採用されてしまったそう。では、実際には1.21ギガワットとは、どれくらいのエネルギーなのでしょうか? デロリアンはプルトニウムを使ってタイムトラベルしています。プルトニウムと言えば、原子力発電。日本にある原子炉を例にすれば、大体1つの原子炉から得られる電気出力が600~850メガワット。1000メガワットで1ギガワットとなるわけですから、デロリアンは超小型原子炉を2つ搭載しているということに。さて、このパート2では、肝心のデロリアンが故障してしまい、現代に帰るため、プルトニウム以外で1.21ジゴ(ギガ)ワットのエネルギーを得なければなりません。そこで、ドクが思いついた作戦とは…? 作中で想定されている未来=2015年の描写もぜひ愉しんでみてください。

水力発電に命をかける男たちの物語

黒部の太陽(1968)

〈あらすじ〉

高度経済成長期の日本。その成長に電力は不可欠と、関西電力は社運をかけて、黒部川上流に常識をはるかに超える規模の第四発電所と第四ダムの建設を計画する。工事総責任者の北川(三船敏郎)、設計技師・岩岡(石原裕次郎)、その父の源蔵(辰巳柳太郎)など、様々な分野のプロたちが集められ、まさに世紀の大事業が始まろうとしていた。しかし、トンネル掘削は難航を極め、たった半年の間にも多くの死者が出る事態に。大規模な山崩れや、水漏れなど難題が次々と勃発。本当に黒部ダムの建設は可能なのか。日本の未来をかけ、黒部に挑む男たちの物語。

黒部の太陽

〈電気!な見どころ〉

堤高日本一でありその景観でも知られる黒部ダム。そして、本作で建設される第四発電所(通称“クロヨン”)は、日本一有名な水力発電と言えるでしょう。このダムと発電所を繋ぐため、全長5.4kmのトンネルを掘削する男たちの物語です。たった5.5km?と思うかもしれませんが、「オートメーション」などという言葉すらなかった昭和30年代。まさに暗闇の中を手探りで進むように、強大な自然の力と格闘していく男たちの姿を描く、日本映画史に残る名作です。ようやく人びとが豊かさを享受するようになった時代。それを支えていたのは、まさに命をかけて「電気」を作った多くの人びとでした。関西電力の全面協力により、いずれのシーンも真に迫る圧倒的な迫力です。

世界を輝かせた男の孤独

テスラ エジソンが恐れた天才(2021)

〈あらすじ〉

1884年、移民としてニューヨークへやって来たテスラ(イーサン・ホーク)は、あこがれのエジソンのもとで働き始める。しかし直流方式の送電を考案したエジソンに対し、テスラは交流方式を主張。両者は激しい対立の末に決別してしまう。しかし、テスラは実業家ウェスティングハウスと組んでシカゴ万博でエジソンを叩きのめし、一躍時代の寵児に。大財閥J・P・モルガンの娘アンと交流し、モルガンから莫大な資金を得て“無線”の実現に挑むテスラだったが、研究一筋の繊細な心は実業界や社交界と不協和音を立て始め…。これまで多くの謎に包まれていた、“もう一人の天才”ニコラ・テスラの半生を描く。

〈電気!な見どころ〉

本コラムでも以前紹介した“電力戦争”(テスラとエジソン〜天才発明家ライバルの戦い〜 )を、ニコラ・テスラの視点で描いた作品。ひたすら電力の未来と可能性に心血を注ぎ続ける、根っからの研究者ニコラ・テスラ。対するエジソンは、社会の需要を読み取り、いち早く発明。特許を獲得していく発明王。テスラの交流方式を何がなんでも阻止せんとするエジソンの妨害工作は強烈を通り越してえげつないほど…。しかし、物語が進むほどに、彼らそれぞれに信念があり、また過ちがあることがわかってきます。私たちが今、こうして使っている「電気」そのものが、この2人のプライドと意地の張り合いから誕生したことを知れば、電力をもっと身近に感じるかもしれません。ちなみに、ベネディクト・カンバーバッチ主演、エジソンとウェスティングとの闘いを描いた映画『エジソンズ・ゲーム』を併せて鑑賞してみるのもオススメですよ!

電気のない架空世界を巡る大冒険活劇

スチームボーイ STEAMBOY(2003)

〈あらすじ〉

発明一家のスチム家に生まれたレイは、子供の頃から発明の才能を発揮している少年。ある日、祖父ロイドから謎の金属ボールを託される。この金属の球体こそ、空前絶後のエネルギーを持つ驚異の発明「スチームボール」だった。この謎につつまれたボールに秘められた“発明”は世界に幸せと繁栄をもたらす奇跡なのか、それとも戦争を巻き起こす悪魔の発明なのか…。レイとスチームボールを狙う巨大な組織からの執拗な追撃。科学に対する理想の違いから反目し合う、父エディと祖父ロイドの確執。そして、レイの前に現れた自由奔放な令嬢スカーレット。様々な人々の想いと欲望が交錯し、物語は意外な結末へと加速していく…!

スチームボーイ STEAMBOY

〈電気!な見どころ〉

本作の舞台となるのは、19世紀のロンドン。まさに産業革命が起き、世界初の万国博覧会が開催されようとしている時代です。ただ一つ、私たちが知る歴史と異なるのは、この世界には「電気が存在していない」こと。産業革命の原動力となっているのが、蒸気機関であることです。電気が発明されないまま、蒸気機関により技術体系や社会インフラが発展したらどうなっていったのか?そんな架空の世界観は「スチームパンク」と呼ばれ、SFの中でも根強い人気ジャンルです。それにしても、すべての機械がでかい!動くのが遅い!蒸気がすごい! 電気のある世界に住めてよかった!と思わずにいられません。『AKIRA』で知られる大友克洋が監督、モクモクと煙を上げながら、19世紀のロンドンを疾走していくスピード感、迫力をぜひ体験してみてください。

今回は5作品を紹介させて頂きましたが、他にも電気な映画はまだまだ沢山!ある日突然電気が消えた世界を描く『サバイバル・ファミリー』(2017)、自然エネルギーの可能性を描くドキュメンタリー『日本と再生 光と風のギガワット作戦』、14歳の少年が風力発電を発明する『風をつかまえた少年』や、はたまた街中のエネルギーを吸収するエレクトロや、太陽エネルギーを人口開発しようとするドクター・オクトパスが登場する『アメージング・スパイダーマン』シリーズ等々。

電気は私たちの生活だけでなく、近代文明を作り、現代のシステムを支える基盤そのもの。知っている映画でも、“電気な視点”で観てみると、これまで気づかなかった新しい発見があるのではないでしょうか(ちなみに、映画の原点ともいえる「キネトスコープ」を発明したのも、エジソンですね)。これからの暑い季節を前に、電気料金の高騰も続きそうな現在。私たちは電気を本当に大切に、計画的に使いこなせているでしょうか? より快適で、安心・安全な暮らしのために太陽光発電や蓄電池を活用し、賢く節電・節約をしたいものです。
地球に、世界に、そして皆さまの暮らしの中に、もっと優しい「電気のカタチ」をニチコンはこれからもご提案していきます。

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