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今さら聞けないスマートハウスやZEHって?2022.10.26

今さら聞けないスマートハウスやZEHって?

2020年代の新常識「省エネ住宅」

「家を建てる」とひと言でいっても、そのポイントは20年前と現在とではずいぶんと違うかもしれません。立地や間取り、住み心地といったことに加え、「省エネルギーであること」も現在では“住まいの基本”となりつつあります。
省エネルギーであること、つまり消費するエネルギーを抑えた住宅は総じて「省エネ住宅」と呼ばれます。この省エネ住宅の目安となるのが、1980年にできた「省エネルギー基準」です。施行当初は冷暖房エネルギーを抑える断熱対策が中心でしたが、時代と暮らしの変化に合わせ、平成4年、11年、25年、28年と改正が重ねられ、その内容もより進歩したものになっています。
そして、省エネ住宅のなかでも機能や特性によりさまざまな種類があるのをご存知でしょうか。今回は、その中でも特に近年注目が高まる「スマートハウス」と「ZEH」を、基礎用語と共にわかりやすくご紹介していきます。

スマートハウスとはどんな住宅?

スマートハウスとはどんな住宅?

スマートハウスとは「電気をつくる・ためる・効率的に使う」を実現する、省エネ住宅を指します。
具体的には太陽光発電で電気をつくり、蓄電システムでため、家全体で作った/ためた電気を効率的に使うよう最適なエネルギーマネジメントが行うことができる住宅がスマートハウスです。
では、スマートハウスならではの設備とはどんなものがあるのでしょうか?

太陽光発電

太陽光発電とは、太陽の光を利用して電気を作る発電方法です。具体的には「太陽電池」をたくさん集めた「ソーラーパネル」を使用して電気を作ります。世界的なエネルギー不足への対応策として、また発電の際に二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとして現在、再び注目を集めている技術です。
一般的な家庭では、屋根などの日当たりのいい場所にソーラーパネルを設置します。このソーラーパネルに太陽光が当たることで、内部の電子が移動し電気が作られます。作られた電気(直流)はパワーコンディショナーを経由し、家庭で利用できるよう交流電気に変換されます。

HEMS

Home Energy Management Service(ホーム・ エネルギー・マネジメント・システム)、略してHEMSは、家庭内で使用している電気機器の使用量や稼働状況をモニター画面などで「見える化」し、電気の使用状況を把握することで、消費者が自らエネルギーを管理するシステムです。HEMSを導入することにより、太陽光発電で作られたエネルギーが何ワットなのか、それぞれの部屋の照明や家電の電力消費がどれくらいなのか、といったことを数値で細かく把握することができるようになります。それまで気づかなかった電気の無駄づかいや、電気使用の傾向、節電節約の数値目標が立てやすくなる等、より効率的な電力消費の計画が可能になります。

蓄電池

基本的には、太陽光発電で作られた電気はためておくことができません。それを可能にするのが蓄電池です。蓄電池と太陽光発電を組み合わせると、昼間発電した電力をためておいて夜間や緊急時に使う、ということが可能になります。

ZEHとはどんな住宅?

ZEH(ゼッチ)とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、「家で消費されるよりも、作り出される電力の方が多い(もしくは同じ)住宅」を指します。令和に入ってから、環境省・国土交通省・経済産業省の3省は連携し、ZEH推進に取り組んでいます。では、ZEHを実現するための必要なポイントとはなんでしょうか?

高断熱

断熱性能を上がることで住宅内のエネルギー効果が高まり、少量のエネルギーで家の中を快適な温度に保つことが可能になります。使用電力が減ることで、月々の光熱費の節約にもなります。住宅の断熱性を高めるには、外の熱が伝わる壁面や床、屋根に断熱材を入れたり、窓ガラスやサッシの素材を断熱性の高いものにするなど、様々な方法があります。

省エネ家電・製品の採用

冷暖房、換気、給油、照明などの設備を省エネ性能の高いものにすることで、極力エネルギー消費を抑えることを目指します。具体的な取り組みとしては、高効率の冷暖房・給油設備の採用や、照明を消費電力が低く長持ちするLED電球にする、といったことが挙げられます。販売店の家電に貼られている「統一省エネラベル」では、その製品省エネ機能の多段階評価の点数や、省エネ基準達成率、固有エネルギー消費効率や、その製品を1年間(1日に5.5時間)使用した場合の目安電気料金、といった情報が表示されており、省エネ機能が一目で分かるようになっています。

2022年9月に改訂された統一省ラベルの見本図 2022年9月に改訂された統一省ラベルの見本図
※出典:経済産業省資源エネルギー庁/統一省ラベルが変わりました

また、ZEHから更なる省エネルギーを実現し、再エネの自家消費率拡大を目指した需給一体型を目指したZEH戸建住宅を「ZEH+」と呼びます。ZEH+には「さらなる高断熱外皮(Heat20のG2レベル)」「高度エネルギーマネジメント(HEMSの導入)」「電気自動車(PHV車含む)を活用した自家消費の拡大措置のための充電設備又は充放電設備」という、3つの条件を満たしている必要があります。

要チェック!「省エネ住宅」補助金制度

要チェック!「省エネ住宅」補助金制度

こうしたスマートハウスやZEHといった省エネ住宅は、何より光熱費を削減し、暮らしにかかるコストを減らせるメリットがあります。一方、通常の住宅よりも販売価格が高い、というデメリットも。ただ、省エネ住宅は申請すると補助金を受けることができます。例えば、以前にご紹介した新築住宅太陽光発電義務化に伴う、政府や各自治体の働きかけ(「新築住宅太陽光パネル義務化」って本当?)の他にも、様々な補助金制度があります。

こどもみらい住宅支援事業(新築・購入)

こどもみらい住宅支援事業は今年、2022年に本格スタートした新しい補助金制度です。一定の省エネ性能をもつ新築住宅を建築・購入した場合に、最大100万円の補助金が交付されます。また、この支援事業はリフォームにも適用されます。断熱改修やエコな設備を設置するなどした場合に、5万円〜最大60万円の補助金が交付されます。
参考:国土交通省/こどもみらい住宅支援事業

既存住宅における断熱リフォーム支援事業(リフォーム)

既存住宅における断熱リフォーム支援事業(旧呼称 断熱リノベ)は、環境省補助事業のひとつです。高性能な断熱材や窓を使い、15%以上の省エネ効果が見込まれる断熱改修工事を行った場合に、最大120万円の補助金が受けられます。
参考:公益財団法人北海道環境財団/【全国対象】既存住宅における断熱リフォーム支援事業

ZEH補助金(新築・購入)

ZEH住宅を新築したり購入したりした場合に受けられる補助金制度。ZEH住宅(あるいはZEH+住宅)を新築、または購入した人が対象です。経済産業省がとりまとめたZEHロードマップにおける「ZEHの定義」を満たしている場合に補助金が支給されます。
参考:ZEHの定義(改定版)

ここにあげた例以外にも、様々な補助金や支援制度があります。新築の購入やリフォームを考えている方は、自分たちプランに該当するものがないか、是非、経済産業省資源エネルギー庁のHPや、お住まいの自治体の取り組みなどをチェックしてみてください。また、省エネ住宅は、所得税・固定資産税・不動産取得税という4種類の税金も減税される場合があります。こちらも忘れずに確認をしておきましょう。

日本政府では2030年までに、家庭における二酸化炭素を30%削減するという目標を設定しています。その高い目標をクリアするための大きなカギを握っているのは、間違いなく、今回ご紹介したスマートハウスやZEHといった省エネ住宅の普及です。
政府だけではなく、東京都の「ゼロエミッション東京」をはじめとした各自治体においても取り組みが進んでいますよね。エネルギーをより効率的に、大切に使いながら、毎日の暮らしをもっと豊かに。そして、地球の未来を見据えた新しい常識としての省エネ住宅を、ニチコンはこれからもさらなる蓄電システムの技術開発でしっかりと支えていきます。

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