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いよいよ販売開始!
ペロブスカイト太陽電池、最前線。2026.07.31

いよいよ販売開始!ペロブスカイト太陽電池、最前線。

次世代型太陽電池として期待が高まるペロブスカイト太陽電池。昨年の大阪・関西万博でも、会場内の各所に、さまざまなペロブスカイト太陽電池が登場し話題を集めました。日本の脱炭素やカーボンニュートラルの実現に欠かせないペロブスカイト太陽電池の開発は、いまどこまで進んでいるのか。そして、一般家庭に導入できるのはいつ頃になるのか。次世代型太陽電池の最新動向をご紹介します。

薄い・軽い・曲げられる。太陽光発電のイメージが変わる

ペロブスカイト太陽電池とは、ペロブスカイトと呼ばれる特殊な結晶構造をもつ化合物で作られる太陽電池のことです。代表的なのはメチルアンモニウムやヨウ素、鉛などを組み合わせた化合物で、太陽光をよく吸収し、電気を生み出しやすい性質をもっています。さらに、フィルム状に加工できるほど薄くて軽く、柔軟性があるのも大きな特長です。
現在、主流となっているシリコン系太陽光発電モジュールは、硬くて重く、1 ㎡あたり 10kg を超えるものもありますが、ペロブスカイト太陽電池なら 1 ㎡あたり 1kg 以下に抑えることができます。このため、重量の制限でシリコン系太陽光発電が設置できなかったビルの壁面や倉庫の屋根にも容易に設置でき、柔軟性が高いので曲面部分や電気自動車の車体などにもシールのように貼り付けることができます。

気になる性能もシリコン系太陽光発電に引けをとりません。太陽の光エネルギーの何割を電気に変えられるかを示す変換効率で比べると、市販されているシリコン系太陽光発電の変換効率が 20~23% であるのに対して、実用化が進められているペロブスカイト太陽電池は現時点で 15%~20%。研究開発が始まった頃は 3% 台でしたが、この 10 数年で急速に進化しています。さらに、京都大学や英オックスフォード大学などの国際研究チームは、ペロブスカイト結晶の層を複数重ねるタンデム型のペロブスカイト太陽電池で、シリコン系を上回る最大 29.7% の変換効率を実現するなど、今後も性能向上が期待されています。

また、ペロブスカイト太陽電池は、シリコン系太陽電池と比べて低照度下でも高い変換効率を発揮しやすく、曇天時や室内照明の下でも発電できるタイプが開発されています。

太陽電池の性能比較

日本で生まれた、日本にぴったりの太陽光発電

実は、ペロブスカイト太陽電池は日本で生まれた技術です。桐蔭横浜大学の宮坂力教授の研究グループが2009 年にペロブスカイト化合物を太陽電池として活用できることを発表しました。日本生まれだからなのか、ペロブスカイト太陽電池は、日本にとってメリットの大きい発電技術でもあります。

まず、ペロブスカイト太陽電池は日本の再生可能エネルギー発電の拡大に大きく貢献すると期待されています。日本は国土の約 7 割が森林であり、平地も少ないため、シリコン系の太陽光発電が設置できる場所が限られています。すでに日本の「国土面積あたりの太陽光発電設備容量」は主要国の中で最大級であり、「平地面積あたりの太陽光発電設備容量」も主要国で 1 位です。このため、太陽光発電を設置できる場所を求めて山間地域での太陽光発電の設置が進み、景観や生態系への悪影響が指摘されています。
ペロブスカイト太陽電池なら、軽い、薄い、曲げられるという特性に加えて、半透明に加工できるタイプもあるので、ビルの外壁や窓ガラス、公共施設の壁面など、設置場所を大幅に増やすことができます。

さらにもうひとつ、ペロブスカイト太陽電池の大きなメリットは、原料を国内調達できることです。主な原料であるヨウ素は、日本が世界 2 位の生産国であり、世界シェアの 3 割を占めています。主要原料を国内で安定調達できることは、エネルギーの安全保障上でも大きなメリットがあります。

国土面積あたりの太陽光設備容量、平地面積あたりの太陽光設備容量

※国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)「太陽光発電開発戦略 2025」

知名度アップへ、東京都が愛称を決定

このように、日本にとってメリットの大きいペロブスカイト太陽電池の普及に向けて、国や自治体でもさまざまな取り組みが始まっています。

2050 年のゼロエミッション実現をめざす東京都では、ペロブスカイト太陽電池の愛称を決める「次世代型太陽電池ネーミング総選挙」を実施しました。「ペロブスカイト」という難しくて覚えにくい名称を親しみやすいものに変えて、普及へつなげようという考えです。
ネーミング選挙では、「ハレルソーラー」「ミライテラセル」「ハローソーラー」などの候補案の中から、「Airソーラー」が選ばれました。
「Air ソーラー」は、空気のようにあらゆる場所に設置できることを表すとともに、Anywhere(どこでも)、Innovative(革新的な)、Renewable energy(再エネ)の頭文字を取ったネーミングだそうです。

東京都では早速 2026 年 3 月に、お台場海浜公園や都庁舎に「Air ソーラー搭載庭園灯」を 41 基設置し、夏からは晴海客船ターミナルで、国内最大規模となる約 50kW の「フィルム型 Air ソーラー」の設置工事を開始する予定です。こうした事業を通して、「Air ソーラー」の知名度を高めるとともに、発電量や耐久性などを検証し、2035 年までに都内に太陽光発電設備を 350 万 kW(うち次世代型太陽電池は約 100万 kW を想定)設置する計画です。

大阪・関西万博で実証実験が行われたペロブスカイト太陽電池

※大阪・関西万博で実証実験が行われたペロブスカイト太陽電池

いよいよ国内で発売開始、一般住宅向けは 2030 年代か

さらに、メーカーの取り組みも加速し始めています。2026 年 3 月には、ついに積水化学工業と積水ソーラーフィルムが、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の事業を開始し、日本メーカーとして初めてペロブスカイト太陽電池の販売を始めました。

当面は、環境省 2025 年度公募の「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」で採択された自治体・事業者に限定した提供となりますが、今後、供給量の拡大を進めていくということです。

他にも、パナソニックが建材・窓・壁面用に「発電するガラス」を事業化する計画であり、カネカや東芝は、シリコン系太陽光発電の上にペロブスカイト太陽電池を重ねる高効率な住宅屋根向け太陽光発電を開発しています。シリコン系太陽光発電とペロブスカイト太陽電池では、発電に使う光の波長が違うため、光透過性のあるペロブスカイト太陽電池をシリコン系の上に重ねることで、太陽光エネルギーを無駄なく発電に使えるようになり、変換効率が 30% を超えるそうです。

一方で、本格的な普及に向けて残された課題もあります。ポイントは耐久性と大型化です。ペロブスカイト太陽電池は薄くて軽いため、湿気や熱、紫外線の影響を受けやすく、寿命が短い傾向にあります。また、薄型であることから面積を大きくすると膜の厚みや材料の均一性を保つのが難しくなり、性能にばらつきが生じやすくなります。しかし、メーカー各社が技術開発にしのぎを削っており、解決されるのも時間の問題でしょう。

では、ペロブスカイト太陽電池が一般住宅で利用できるのはいつ頃なのでしょうか。現在、多くのメーカーが 2027 年以降の商用化をめざして開発を進めており、2030 年代には一般住宅向けの製品が登場すると予測されています。ペロブスカイト太陽電池は軽量で建物への設置が容易であることから、量産体制が整えば、工事費も含めてシリコン系太陽電池よりも低コストで導入できる可能性があります。みなさんのご自宅にペロブスカイト太陽電池がやってくるのも、意外と早いかもしれません。

出典・参考文献
○国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「太陽光発電開発戦略2025」
https://www.nedo.go.jp/content/800022979.pdf?utm_source=chatgpt.com
○東京都 「次世代型太陽電池」ネーミング総選挙結果発表 日本生まれの太陽電池の名前は「Airソーラー」
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/08/2025080818
○東京都 Airソーラーの都有施設への先行導入
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/03/2026032710?utm_source=chatgpt.com
○積水化学工業 フィルム型ペロブスカイト太陽電池「SOLAFIL」事業開始のお知らせ
https://www.sekisui.co.jp/news/2026/1450530_42699.html
○Eco Life 【2026】ペロブスカイト太陽電池のメーカー一覧と実用化ロードマップ
https://bright-co-ltd.com/solar-media/solar/perovskite-maker/
○太陽光発電導入ナビゲーション ペロブスカイト太陽電池とは?家庭用の実用化はいつ?
https://www.tainavi.com/library/2480/

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