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いよいよ補助金終了!
5月から電気代が大幅上げ2024.04.26

いよいよ補助金終了!5 月から電気代が大幅上げ

4 月から食料品などの値上げラッシュが始まったばかりだというのに、5 月からは電気代・ガス代も大幅に値上がりすることになりました。せっかくの賃上げも、これでは喜びが半減。家計にも大きな影響を及ぼしそうです。このところ落ち着いていた電気代が、なぜ今になって再び上昇するのでしょうか。その理由と今後の見通しについてご紹介します。

電気代の負担軽減策が段階的に終了

この数年間、電気代は世界的に上昇傾向にあります。きっかけになったのは2022 年に始まったロシアによるウクライナ侵攻です。欧米各国がロシアに対して火力発電用の液化天然ガス(LNG) の輸出規制をしているため国際価格が高騰。さらに、将来の脱炭素化へ向けて化石燃料への投資が抑えられているため、他国でも生産量は減少傾向であり、LNG の需給バランスが大きく狂ってしまいました。また、日本にとっては円安の進行や、東日本大震災以降の原子力発電所の稼働停止もマイナス要因となっています。結果的に、価格が高騰しているLNG を使った火力発電に頼らざるを得ず、電気代の上昇につながっています。

こうした状況に対して日本政府は2023 年1 月から「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を開始し、家庭や企業の負担を軽減するため、電気料金の単価から一定の額を補助していました。とくに申請などは必要なく、電力会社からの請求が自動的に割り引かれるので、実感していない人が多いかもしれませんが、一般家庭で2023 年8 月までは1 キロワット時あたり7 円、2024 年4 月までは 1 キロワット時あたり3.5 円安くなっていたのです。

ところが、この「電気・ガス価格激変緩和対策事業」が5 月で終了することになってしまいました。5 月分の補助額は従来の半分になり、6 月以降は電気代もガス代も補助がゼロになります。これによって、2人以上世帯での電気料金は、年間17,696 円(月間1,475 円)増加。都市ガスは年間5,461 円(月間455 円)増加する計算になります。

「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による電気料金・値引単価の推移

再エネ賦課金の値上げも重なり、5 月から大幅高に

もうひとつ、電気代の上昇の原因になっているのが、再エネ賦課金( 再生可能エネルギー発電促進賦課金)の値上げです。再エネ賦課金とは、電力会社が再生可能エネルギーによって発電した電力を固定価格で買い取る際の費用の一部を利用者が負担するものですが、2024 年度は3.49 円/kWh に値上がりすることになりました。2023 年度の再エネ賦課金が1.4 円/kWh と安かったこともあり、今年度は標準的な家庭(1 カ月間に400kW 使用) で、負担額が年間約10,000 円増えることになります。再エネ賦課金の値上げが適用されるのは5 月分からなので、政府の「電気・ガス価格激変緩和対策」の終了も合わせて、5 月、6 月は電気代が急激に高くなります。電力会社によって金額は異なりますが、政府の補助終了と再エネ賦課金の値上げを合わせて、6 月は4 月に比べて2,000 円前後電気代が高くなると予想されます。

ちなみに、2023 年度の再エネ賦課金が1.4 円/kWh と安かった理由は、ウクライナ危機によって急激に電力市場価格が高騰したため、再エネ発電の電力との価格差が縮まったためです。しかしこれは一時的なもので、今後も再生可能エネルギーによる発電量が増えるとともに、再エネ賦課金も上昇していきます。この傾向は、固定価格買取制度が20 年目を迎え、高い固定価格での買取契約が終了し始める2032 年まで続くことでしょう。

再エネ賦課金の推移 (年度は5月~翌4月)

今後も止まらない電気代値上げ、自衛策は?

さらに、電気代高騰の根本的な原因になっている世界的なLNG の値上がりも余談を許さない状況が続いています。電力各社でも、今年1 月からLNG 高騰を理由とした値上げが相次いでいます。EIA( 米国エネルギー省エネルギー情報局) による世界のLNG 市場の長期予測をみてもLNG 価格は今後も上昇を続け、2050 年には現在の2~3 倍になると予想されています。この先、電気代がどのくらい値上がりするのか、想像するのも恐ろしい状況です。

EIAによる天然ガス価格予測

今後も止まりそうもない電気代の値上げ。この影響を抑えるにはどうしたらよいのでしょうか。家庭でできる唯一の対策は、電力会社からの電気の購入量を減らすこと。つまり、節電と創電・蓄電です。これから夏へ向けて、エアコンを去年と同じように使っていると、その電気代に驚くことになるでしょう。エアコンの使い方を工夫したり、省エネ性能の高い機器を導入するなどの対策が必要です。さらに、創電・蓄電においては太陽光発電や蓄電システムの導入が大きな効果を発揮するでしょう。

ニチコンでは、太陽光発電の電気を上手に蓄え、賢く使う家庭用蓄電池システムの提供を通して、電気代の節約とエネルギーの自給自足を実現し、いつでも安心できる暮らしづくりを応援しています。

※出典・参考文献
野村総合研究所「コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight 政府の電気・ガス支援策は5 月までで終了へ」
新電力ネット「再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移」
経済産業省「再生可能エネルギーのFIT 制度・FIP 制度における2024 年度以降の買取価格等と2024年度の賦課金単価」
東京都環境局公式サイト「平成26 年度東京都家庭のエネルギー消費動向実態調査 報告書」

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