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震災後に気をつけたい、
壊れた太陽光発電の危険性。2024.02.07

震災後に気をつけたい、壊れた太陽光発電の危険性。

2024年の元日を襲った能登半島地震。各地で甚大な被害が発生するなか、経済産業省は住宅の倒壊に伴って損傷した太陽電池パネルの危険性について注意喚起を行いました。壊れてしまった太陽光発電システムの何が危険なのでしょうか。地震に限らず、年々激甚化する自然災害に備えて、緊急時の対処方法についてご紹介します。

壊れた太陽電池パネルには、さわらない・近づかない

能登半島地震による被害は、石川県だけでも住宅被害(全壊、半壊、一部損壊)が3万4435棟※にのぼり、その全容は未だに判明していません。太陽光発電システムについても、少なくとも3箇所のメガソーラーが被害を受けたほか、住宅用太陽光発電にも相当数の被害が発生していると思われます。こうした状況を受けて、経済産業省が注意喚起を行った理由は、壊れた太陽光発電システムが感電事故や、漏電による火災の原因になる恐れがあるからです。

例えば、屋根から落下して完全に壊れたように見える太陽電池パネルでも、光が当たると300V以上の電気を発電します。パネルが破損していると充電部が露出しているためさわると感電の恐れがあり、状況によっては大きな事故につながる可能性もあります。壊れたパネルを片付けたいときは、ブルーシートや段ボールなど光を遮断できるもので覆い、ゴム手袋、ゴム長靴などの感電対策をして作業をしましょう。太陽電池パネルだけでなく、集電箱やパワーコンディショナーなどの機器も感電する可能性があるので絶対にさわらないでください。

また、津波や地震後の大雨などで太陽光発電システムが水没してしまった場合は、さらに注意が必要です。近づくだけで周囲の水を通して感電する可能性があります。ロープを張るなどして、人が近づかないようにしておきましょう。
※2024年1月21日現在

大地震の後、太陽光発電を使っても大丈夫?

大地震の後、太陽光発電を使っても大丈夫?

壊れた太陽光発電システムのリスクを知ると、気になるのは「地震後に発電を再開しても大丈夫なのか」ということでしょう。とくに停電してしまった場合は判断に悩むことになると思います。
大きな地震が発生しても、周辺地域で被害が少なく、家屋倒壊の恐れがない場合は発電を再開しても問題ないでしょう。太陽光発電設備が無事で、家で安全に電気を使える状況であれば、自立運転機能に切り替えて電力を自家消費に活用しましょう。蓄電池があれば夜でも電気が使えますから、「災害に強い太陽光発電」を実感することができます。

しかし、近隣で大きな被害が発生していたり余震が続くような状況では、使用を控えることをおすすめします。2016年に大きな被害が発生した熊本地震では、屋根の上の太陽電池パネルは無事でも、パネルから送電ケーブル、接続箱、パワーコンディショナーに至る電力経路が損傷し、二次災害につながる危険性が指摘されていました。地震直後は異常がなくても、大きな余震の繰り返しで徐々に損壊し、機器や配線から漏電する危険性もあります。万が一に備えて分電盤の遮断器を切り、パワーコンディショナの運転ボタンを停止にしておきましょう。

蓄電池にも被害がないか確認しよう

蓄電池にも被害がないか確認しよう

太陽光発電システムと併用している蓄電システムも大きな地震の後は注意が必要です。蓄電池が地震や建物の倒壊などで衝撃を受けた形跡(変形、破損、へこみ)がある場合や、水没または水に濡れた場合、あるいは瓦礫の中に埋もれてしまった場合は、感電や有毒ガスの発生、発熱・発煙・発火の危険があります。使用中の場合は直ちに蓄電システムを停止し、蓄電システム用ブレーカを「OFF」にしてください。使用を停止しても内部に電気が残っているので近づいたり、手をふれたりすると感電の恐れがありますので注意しましょう。
さらに、内蔵の電池から電解液が漏れ出ている場合は、絶対にさわらないでください。誤って手でふれたり目や口に入った場合は、大量の水で洗い流し医師の診断を受けましょう。

壊れた蓄電池の処理は、メーカー・販売店へ依頼

壊れた蓄電池の処理は、メーカー・販売店へ依頼

蓄電池を廃棄する場合は、必ず販売店やメーカーに問い合わせてください。蓄電池システムにはリチウムイオン電池が使用されているため、自治体の粗大ゴミに出したり、通常の廃棄物処理業者に依頼することはできません。収集作業時に感電したり、リチウムイオン電池が発煙・発火して火災になる可能性があり、大変危険です。また、処分せずにそのまま放置しても感電・火災を招くリスクがあります。販売店やメーカーに早めに連絡しましょう。また復旧活動に伴って、重機などで破壊、粉砕などをすると発熱・発火の危険がありますので絶対に行なわないでください。

ニチコンは、環境省より一般廃棄物および産業廃棄物の「広域認定」を取得し、全国のお客さまを対象に蓄電池システムの回収・処理を行っています。廃棄処理のご依頼は、販売店に相談の上、当社ホームページに掲載されている「蓄電システム廃棄依頼」の窓口よりご連絡ください。

※参考文献
太陽光発電協会(JPEA) https://www.jpea.gr.jp/wp-content/themes/jpea/pdf/t160415.pdf
日本電機工業会(JEMA) https://www.jema-net.or.jp/Japanese/pis/pdf/ryuiten_battery.pdf

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