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太陽光発電が売電できない!
「出力制御」ってなに?2023.10.19

太陽光発電が売電できない!「出力制御」ってなに?

大手電力会社が、太陽光発電などによる電気の受け入れを一時的中止する「出力制御」。2018年に九州電力で初めて再生可能エネルギーの出力制御が行われて以来、徐々に他の電力会社にも広がり、今年の春にはついに電力の大消費地を抱える関西電力や中部電力でも出力制御が行われました。せっかく発電したグリーン電力がなぜ受け入れてもらえなくなってしまうのか。今回は出力制御の仕組みについてご紹介します。

なぜ、出力制御が必要なのか?

出力制御とは、電気の需要と供給のバランスを保つため、電力会社が発電量をコントロールすることです。電気は大量に貯蔵することが困難であるため、つねに電気をつくる量(供給)と、電気の消費量(需要)が同じになるように調整しなくてはなりません。これを「同時同量」と言います。このバランスが崩れると電気の品質(周波数)が乱れてしまい、電気を使用する設備に悪影響を及ぼし、最悪の場合、大規模な停電につながる恐れがあります。
こうした事態を防ぐため、電力会社は24時間365日、時間帯や曜日、天候、季節などによって変動する電力需要に合わせて発電量を変えたり、他の地域の電力会社と電気を融通し合ったりして、需要量と供給量が同じになるように調整しているのです。
また近年では、再生可能エネルギーによる発電量が増え、電気の供給量が需要を上回ることが多くなったことから、出力制御の重要性がさらに高まっています。太陽光発電や風力発電は、気象条件によって発電量が目まぐるしく変化するため、需要と供給のバランスをとることが一層難しくなっているのです。

供給量と需要量の図

出力制御はどのように行われる?

こうした出力制御はどのように行われているのか、その仕組みを紹介しましょう。再生可能エネルギーによる発電が増えたからといって、太陽光発電だけが出力制御の対象になるわけではありません。日本では、出力制御の「優先給電ルール」が決められていて、下図のような順番で出力制御を行っています。この順番は、発電コストの高さと出力調整の容易さで決まっています。
最初に出力制御するのは火力発電所です。石油やガスなどを使うため発電コストが高い上、出力調整が容易に行えるためです。そして、再生可能エネルギーによる発電は4番目。最後が水力発電や原子力発電です。水力や原子力発電は出力の調整が技術的に難しく、一度出力を下げると発電を再開するのに時間がかかるため、最後に出力制御することになっています。

出力制御の優先給電ルールと電力供給のイメージ図

増え続ける再生可能エネルギーの出力制御

こうした「優先給電ルール」に則って行われている出力制御ですが、先にご紹介した通り、近年はその回数が増加傾向にあり、再エネ発電まで出力制御の対象になることが多くなっています。理由は、太陽光や風力発電がさらに増えていること、そして、電気代の高騰による節電が浸透し電気の消費量が減っていることなどがあげられます。
欧米に比べ、再エネ発電の比率が低い日本では、今後さらに太陽光や風力発電を増やし、将来的には主力電源化をめざそうとしているのに、その電気が使えないのではいつまでたってもカーボンニュートラルは実現できません。また、せっかく発電設備を作っても売電できなければ、再エネ発電事業への参入意欲も低下してしまうでしょう。

2019年度~2022年度 出力制御量(日本)

こうした状況を解決するには、再エネ発電の変動をうまくカバーして、電力の需給バランスを維持できる新たな調整力が必要になります。そのひとつが、余った電力を蓄電し、需要の多い時に活用するための大型蓄電池の導入であり、もうひとつがディマンド・リスポンス(DR)です。

救世主となるか、期待が高まるDR

ディマンド・リスポンス(DR)とは、従来の出力制御とはまったく逆の発想で、電気の需給調整を行う方法です。今までのように発電量を調整するのではなく、工場や家庭などの需要側が、電気の供給量に合わせて電気の使い方を変え、需要が供給を超えないようにする方法です。夏の猛暑でエアコンの使用量が増え、電力需給が逼迫しそうなときに政府から節電の要請が出ることがありますが、これもDRのひとつです。電力の需要を下げるという意味で「下げDR」と呼ばれます。
反対に、電力供給が増えて需要を超えてしまいそうなときは、工場や家庭で電気の需要を増やす「上げDR」を行います。需要を増やすといっても、必要もない電気設備のスイッチをONにするという意味ではありません。例えば、太陽光発電の電気を電力会社に送らず、蓄電池に充電すれば、電気の需要が増えることになります。貯めた電気を供給量が不足したときに電力会社に供給すれば、太陽光発電の有効利用につながります。

上げDRと下げDR

こうしたDRの実施には、蓄電池が大きな役割を果たすことから、ニチコンもその推進を支援しています。とくに、ニチコンのネットワーク接続蓄電システムは、各家庭に設置された蓄電池をインターネット経由で遠隔操作することで、上げDR・下げDRの要請に素早く応え、太陽光発電の蓄電・放電を行うことができます。すでに、ネットワーク接続蓄電システムにつながる蓄電池は6万8,000台を超え(2023年10月現在)、2025年度末には20万台に達する見込みです。
ニチコンは、電力会社や電力アグリゲーターと協働して蓄電システムの遠隔制御のサービスにトライし、DRの推進に貢献していきます。参加をご希望の皆さまは、ニチコンからのメールマガジンにて募集を行いますので、是非、ご検討ください。

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