2022年「EV」最新事情2022.2.10
なぜガソリン価格は高騰し続けているの?
普段、車を利用している家庭にとって、昨年から続くガソリン価格の高騰は毎日の暮らしに関わる重要なトピック。実際、2021年1月4日には136.1円だったガソリン価格は、2月には140円代、3月末には150.3円にまで上昇。その後も緩やかに上昇を続け、昨年末からは170円代へと推移しています。この上昇の理由は、産油国の増産抑制、投機筋からの資金流入、アメリカのシェールガス採掘規制、そして新型コロナウィルスなど様々な要因があると言われています。流動的な社会情勢はガソリンの需要と供給のバランスを崩し、ガソリン価格の値上げとして表れてきています。
EVへの大きな期待
そのような社会情勢の中、大きな注目と期待が寄せられているのがEVです。一般的には「電気自動車」とも呼ばれるEVは、充電装置でバッテリーに電気をため、その電気でモーターを動かし車輪を駆動します。エンジンは搭載していません。そのため、いわゆるガソリン車やディーゼル車のように、エンジンを動かす際に発生する汚染物質を含んだ排気ガスの排出もありません。
前回のコラムでご紹介したSDGs「持続可能な開発目標」の中にも含まれる、地球環境への配慮という点においても、二酸化炭素や窒素酸化物を一切排出しないEVは、今後の輸送・移動手段として、ますますその存在感と重要性を高めています。
そして、コストパフォーマンスという観点でも、EVには大きな利点があります。同じ走行距離にかかる費用を比べた際、ガソリン代よりも電気代のほうが安くなる場合があるからです。自宅で利用している電気の契約プランを見直し、深夜帯にEVに充電を行うなど、利用方法を工夫することで、より効率的なコストダウンが可能になります。
世界規模での「EV」への取り組み
ヨーロッパでは現在、EVのシェアが急速に拡大しています。すでに主だった国が2040年までの間にエンジン車の新車販売禁止に向けての準備を始めていますが、2021年7月には欧州委員会(EC)がその目標を2035年までに達成すると表明。EVシフトはさらに加速しています。また、環境先進国とも呼ばれるノルウェーでは2025年までに全新車をEV、もしくはFCV(燃料電池車)にする活動を進めており、実際、昨年には乗用車新車販売台数の約65%をEVが占めるという結果が報告されています。
日本では、2021年12月にトヨタ自動車が「バッテリーEV戦略」に関する説明会を開催。この中で豊田社長はこれまで200万台としていた2030年のEV新車販売台数を350万台へと上方修正しました。また、同時に16種ものEVラインナップを発表、さらには「30年までに30車種のBEVを展開し、グローバルに乗用、商用各セグメントにおいてフルラインで揃える」と表明しています。EV搭載用電池についても、これまでは1兆5千億円としてきた投資額を2兆円に拡大。EV車両開発費の投資額2兆円、PHEVなど他種電気車への投資を合わせ、プロジェクトへの総投資額は8兆円にものぼります。
また、誰もが知るドイツの名門、メルセデス・ベンツ社では昨年春に最新モデルEQSの販売を開始し注目を集めています。メルセデス・ベンツの電動化サブブランドであるEQのフラッグシップモデルとなるEQSですが、特に日本販売仕様での注目ポイントは普通充電(AC200V)だけでなく、CHAdeMO(急速充電)とV2H規格に対応した充電システムを搭載予定、という点です。自宅での充電はもちろん、高速道路のサービスエリアや商業施設に設置されているCHAdeMOでもすぐに充電が可能となります。
私たちニチコンは、世界で初めてV2H(Vehicle to Home)システムを開発。V2Hはこれまでの家庭用電力をEVへという一方向の蓄電をより進化させた、EVから電気を取り出し家庭用電力として使える双方向のシステムです。この画期的な技術を結集し、より高機能かつ低価格で実現したのが〈EVパワー・ステーション〉です。この〈EVパワー・ステーション〉や、〈トライブリッド蓄電システム〉のV2HスタンドもCHAdeMOに対応。通常の充電システムと比べ倍の速さで充電を可能とすることで、EV普及の一躍を担っています。
企業だけではなく、国としてもEVへの取り組みは強化されています。昨年11月、令和3年度補正予算案が閣議決定され、経済産業省が策定した「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」が盛り込まれました。これは「電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電磁自動車の購入」「充電と水素充てんインフラの整備」を補助する内容です。現在、電気自動車購入に対する国の補助金はいくつかの制度が並行して検討されていますが、ここでもやはり目をひくのは、CEV補助金がこれまでの42万円から最大80万円へと文字通り倍増されたことではないでしょうか。東京都では、国の補助金に加え、さらに60万円がプラスされます。まずは都市部を皮切りに、官民一体となってのEVシフトへの取り組みが拡大しています。
より明るくクリーンな未来のために
2030年という決して遠くはない未来に向けて、EVの普及はより勢いを増していくでしょう。パワーステーションの増設や、新技術の開発は続きますが、何よりも重要なのは、EVを使う私たち消費者です。EVの利点を最大限に活かすことが、 “地球に優しい”未来へと繋がっていきます。
例えば、クリーンエネルギーである太陽光発電でEVのバッテリーを充電することで、充電費用を大幅に削減できます。また、V2Hシステムを導入することで、太陽光発電の電力とEVの充電電力を自在に自宅に供給することも可能です。電気自動車の電力を自宅に供給することで、日常の電気料金を大幅に節約することができます。
毎日の暮らしのちょっとした工夫と節約が、地球の未来を変えていく。ニチコンは、蓄電システムの革新と技術で、地球にも家庭にも優しい製品をお届けしていきます。